劇中の劇の効果
ニールの劇は意表を突くものでした。
普通、高校生の演じる劇は青春モノって思いがちです。 2014年の夏に放送されたドラマ「若者たち」がそうでした。その名の通り、葛藤を描く内容でドラマの中の劇も同じでした。
また2015年4月から放送された役者志望の主人公の成長を描くドラマ「美女と男子」はいくつもの劇中の劇が登場。どれも主人公のリアルな悩みが投影されていました。あるときはライバルとの関係だったり、親との関係、マネージャーとの関係だったり。
「いまを生きる」ではファンタジーでした。びっくりしました。この劇はニールの親との葛藤の投影というより演劇を続けたいという心の表れだったのかもと思いました。
詩を通して生きるための何かを学んでゆくというこの映画の主題にもつながる気がしました。
ならドラマ「若者たち」のようにストレートな青春モノの劇やドラマ「美女と男子」みたく主人公の悩みの直接的な投影でいいんじゃないの?
詩ってそういうものでしょう?
また詩ってこの映画に必要なの?と懐疑的に思う気持ちを払拭させるのがこのニールの「劇」でした。たとえばキーティング先生の専門が数学で、すごい熱血教師だったりという設定でも映画は成り立ちそうです。
詩はラブソングだったり、人生の応援歌だったりもするのだけれど、純粋とか無垢なんてものも表現します。究極、ここに詩の本質があるのかもしれません。
結果的に詩を通してニールは幸せになれませんでした。これもまたおそるべき詩の力なのかもしれません。死せる詩人の会って名前自体も何か意味があるはずです。
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